専攻長から

物質科学創造専攻に集い、明日に繋がる自分の「次の一手」を目指そう!
平成26年度 専攻長 舟窪 浩
舟窪専攻長  
 本専攻は、革新的教育研究と先導的研究開発を推進し、使命感のある優れた人材を輩出してきました。 世界を牽引する理工系総合大学を目指し、「東工大ならでは、そして物質科学創造専攻ならでは」を強化して、より一層優れた人材の輩出に向け努力します。 単純なモデル化が目標である科学技術の展開を複雑にしないためにも、「独創的な課題あるいは仮説」の構築を大切に、仲間・同志と大いに議論を交わす場であり続けます。
 
求め、悩み、そして自分を鍛えよう

 「入学したときに感じた学校の大きさが、卒業の頃には小さく思えた」、という記憶を持っていることと思います。”教育”を通して習得すべきことは、まさにこのような感性であって、そこへ至る過程での”知識”の取得は一つの方法にすぎません。

 自身の先の存在を、自分が許容できる大きさに調整することが”教育”と言えます。そこから先は、「教育を受ける」というより「道を探し究める」ことであり、自分の努力や忍耐という感性も、一過性ではなく、一つの目標に向かって進まなければなりません。

 「人才は、知恵で形成され、知識だけでは生まれない」という認識を大事にしたいと思います。”自分”を育成するためには、軽々な情報通を気取らず、その場しのぎで妥協せず、朴訥でも、自分の置かれた環境と自分の現状の能力で誠実にぶつかることが重要です。そこに知恵が備わり”個としての真の自分”が形成されます。

論じ、挑み、そして自分を育もう

 「理解する」の英訳は一般的に[understand]ですが、[under-]と[stand]から類推すると、「下に立つ」になります。[comprehend]も頻繁に用いる「理解する」ですが、これは[com-]と[prehend]で「まとめて掴む」になります。「下に立つ」だけの理解だけでは、何ら次の展開を描くことは出来ません。「理解」と言う言葉一つでも、”立ち位置”があることへの「理解」が必要です。

 「過去は今、今は未来!」という高名な方の言葉のように、それぞれ志の高い夢を描き、描いた大きな夢をかなえるために、日々鍛錬し、たとえ夢がかなわなくても挫折することなく、”習得・鍛錬した知識・知恵が将来必ず誰かの役に立つ!”と思い、心身ともに自己管理を向上させ、規律(ディシプリン)ある自分を目指すことが重要です。

極め、拓き、そして自分の道を描こう

 情報社会が日常化した今日では、「独自の叡智」で培った貴重な成果であっても、一旦公表されると、すぐに公知な情報として世界に伝わり大衆化されてしまいます。そして、情報が知識として大衆化されると、「次の一手」での自由な独立性は、時間的にも空間的にも保証されず、競争相手が多くなった環境では、最初に開示した独自の成果を大きく育てることができず、結果的に対象を細分化して取り繕うような焦点の定まらない展開となってしまいます。

 先進的な研究開発を先導するためには、「与えられた課題を独自の叡智で解決する」ことを基本的な姿勢として堅持しつつも、社会にアピールするポイントを「独創的な課題あるいは仮説の正当性を実証して具現化する」こととして取組む姿勢が必要になり、”叡智”と”調和”をバランスする「個」の存在が重要です。

 国際競争の中では、「個」に対する厳しさが要求されます。それを克服してこそ、国際化を目指す自分が主張できます。国際化を目指すためにも、自己満足的な”教育”過程に留まることなく、我が”道”を究めようではありませんか。